子供の頃に父親と映画館で観た「エレファントマン」
あれから40年。
大人になった私は、今度は一人で映画館に行きました。
(あ、父親健在ですw)
あらすじ
19世紀末のロンドン。
外科医のトリーヴスは、見世物小屋で「エレファント・マン」と呼ばれている青年と出会う。
その青年ジョン・メリックの容姿に興味を持ったトリーヴスは、研究のために彼を自分が勤める病院に連れ帰り生活させる。
言葉を話すこともなく怯えるメリックを、まわりの人々は知能が低いと思っていた。
しかしある日、メリックが暗記した聖書の一節を口にしているのを聞いたトリーヴスは彼が知性にあふれた青年であることに気づく。
メリックの世話をしていた看護師たちも、最初は恐る恐る彼に接していたが次第に彼の優しさを知り、一人の心優しき青年として交流を深めていく。
だがその頃、興行師のバイツは失ったメリックを取り返したいと考えていた。
特異な容姿の中身は、知的で心優しいジョン・メリックという一人の青年だという事に気づく人は少ない…。
スタッフ・キャスト
1980年製作 アメリカ・イギリス合作
原題:The Elephant Man
配給:アンプラグド
監督 | デビッド・リンチ |
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原作 | フレデリック・トリーブス、アシュリー・モンダギュー |
脚本 | クリストファー・デボア、エリック・バーグレン、デビッド・リンチ |
トリーヴス医師 | アンソニー・ホプキンス |
ジョン・メリック | ジョン・ハート |
バイツ | デクスター・フレッチャー |
アン・バンクロフト |

感想
子供の頃に観た「エレファント・マン」
暗くて怖くて何かカワイソウ。そんな感想だったような気がします。
ジョン・メリックの姿が見えた時
「全然、象っぽくないじゃん」
と思ったのも、子供だったから言葉をそのまま受け止めていたせい。
更に、ゾウの群れの映像と女性が叫んでいる映像を見て
と、思っていた当時の私。
…な、わけねーじゃん!なんですけど。
当時は、見世物小屋のバイツが「悪い人」で、そこから連れ出した医師のトリーヴズは「良い人」と思っていましたが改めて観てみると
と、いうことにも気が付きました。
トリーヴズはメリックをちゃんと「人間」として扱ってたのかな。
当然、バイツのもとでひどい扱いを受けて暮らすことは可哀そうだと思っただろうけど、メリックがトリーヴズのことを「友達」と言っていたように、トリーヴズもメリックのことを「友達」と思ってのかな。
「友達」じゃなくてもいい、「人」として思いやったり尊重したり、対等な関係だったのか?
というのを感じました。
映画の中のトリーヴスに対してはこんな風に感じたけれど、色々調べて記事を読んでみると実際のトリーヴス医師は行く当てのないメリックを引き取り、反対する人々の声やお金のことも解決させ、親身になって世話をするうちに信頼関係も築いていったようです。
「自分達とは違うもの」に対する人々の感情が残酷で、でも、それは何十年も経った今でもあまり変わっていない気がします。
多様性とか言ってる今の時代こそ改めて考えさせられる映画でした。
私自身どうなんだ?としっかり問いかけたい。
ちょっと変わってたり、周りの人と違ってたりするだけで「なに?あの人」とか言ったり思ったりしてないだろうか。
のハズ。
婦長さんは厳しいけれど、公平でサッパリしているところがイイ。
誰に対しても公平で、自分の目で見てきちんと自分の頭で判断できる人。
こういう人に憧れます。
おしゃれをして部屋の中を朗読しながら歩くメリック。
おしゃれに関心があり、詩や聖書を読み、お芝居も好きな穏やかで優しい青年。
でも、多くの人はそのことを気付いていない。
単純だけど、子供の頃に親や先生から教わったコト、
差別はダメ、みんな同じ、人類皆兄妹、人は見かけで判断しちゃダメ、みんな同じ命、相手の身になって考える、人の嫌がることをしないetc.
そういう言葉がぐるぐるしてきます。
もの悲しい音楽もずっと頭の中に残ります。
見世物小屋の仲間たちがメリックを逃がそうとしていた時
「自分たちのような人間には❝運❞が必要」
といった言葉も彼らが公平に扱われていないことを表していて悲しいです。
私が無意識に言ってしまう「普通に」…の「普通」と思っている暮らしも彼らにはままならない。
❝運❞がなければ手に入らないものだったのでしょうか。
むか~しの話
私が子供の頃、1970年代頃は夏祭りにはイカ焼きや綿あめなどの夜店と並んで見世物小屋がありました。
小屋の入り口に銭湯の番台みたいな少し高い台があり、人が座って呼び込みをしています。
活弁士のように調子良く、リズムに乗った言い回しで見世物の紹介をするのです。
その呼び込みをしている人の後ろに小窓があり、お金を払わなくても少し中の様子を覗き見ることが出来ます。
そこから中を(わざと)チラ見させて興味をそそる為の小窓というわけです。
見世物小屋の上には手描きの大きな看板が掛けられてて、これが子供の私にはとーーーってもオソロシイものでした。
昔の映画看板のような手描きのイラストですが、いつも目を閉じて親の腕にしがみついて前を通り過ぎていました。
その頃の見せ物は「呪われた三姉妹」というもので、ヘビ女と火を吹く女の人(どっちが長女か忘れました)と三女は牛女でした。
牛女というのは足の関節が逆?に曲がっていたと聞いた覚えがあるので、今思うと障害がある人だったのだと思います。
お金を払って面白がって見物してたという事が、数十年前に普通に夏祭りであったなんて、今思うと信じられない気がします。
面白がっていた人ばかりではないと思いますが。
まとめ
あらためて見直してみると、以前は気づかなかった事…メリックを始めいろんな人たちの感情に気づき悲しかったり、少し微笑ましい部分もあったり。
この4K版が上映される前から「エレファント・マン」はもう一回観たいと思っていたのでいいタイミングで映画館で観ることが出来て良かったです。
それにしても40年で映画の技術ってすごく進歩したんですね。