ちーちゃんはお父さんとお母さんのことが大好きで、お父さんとお母さんもちーちゃんのことをとても大事に思って大切に育てています。
だけど…。
というお話。
主役の芦田愛菜を始め、同級生や周りの大人たちなどキャストが良かったです。
あらすじ
小さなころから体が弱かったちひろ。
悩み、悲しむ両親だったがある宗教を知り、ちひろの具合は次第に良くなっていった。
ちひろを治してくれたその宗教を両親は深く信じるようになる。
両親から愛情いっぱいに育てられ、ちひろもお父さん、お母さんのことが大好きだった。
中学3年生になり、新任の南先生に一目ぼれをしたちひろ。
ある日、夜の公園で両親があやしい儀式をしているところを南先生に見られてしまう。
二人のことを不審者だと気味悪がる様子に、あれは自分の両親だと言えず逃げ出すように走って家へと帰るちひろ。
そして、ちひろにとって衝撃的な出来事が起きる。
スタッフ・キャスト
2020年製作 日本
配給:東京テアトル、ヨアケ
監督 | 大森立嗣 |
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原作 | 今村夏子 |
脚本 | 大森立嗣 |
ちひろ | 芦田愛菜 |
父 | 永瀬正敏 |
母 | 原田知世 |
南先生 | 岡田将生 |
雄三おじさん | 大友康平 |
海路さん | 高良健吾 |
昇子さん | 黒木華 |
まーちゃん | 蒔田彩珠 |
なべちゃん | 新音 |
新村くん | 田村飛呂人 |

感想
「良い」とか「悪い」とか、「正しい」とか「間違ってる」とかそういうのは無いんだろうな。
宗教って、あまり身近じゃないせいか何だかムズカシイ。
ちひろはずっと両親と一緒にいるのかもしれないし、
まーちゃんのように両親のもとから離れてしまうのかもしれない。
なべちゃんの言うように誰かが誰かをだましているのかもしれないし、
すべて真実かもしれない。
私自身の子育てを思い出しました。
子供のアトピーがひどく生後3ヶ月くらいからずっと病院に通っていたこと。
苦しんでる子供を見るのは親も辛い気持ちでいっぱい。
「変わってあげたい」と心から願うし、「効く」と言われるものは何でも試してみたいというのも当然だし、すごくよくわかる。
お母さんの育児日記や当時の感情なども「そうそう!」と共感する事ばかり。
「水」っていうのはよくある話で、実際、私も同じように「水」を変え、水で浸したガーゼを毎日患部にあてていた時期もありました。
その「水」は私の場合は宗教がらみではなかったけれど、きっときっかけってこんなものなんでしょうね。
特別に信心深いわけでもなく、ごくごく普通に生活する中でこんな風に宗教と関わっていく人もいるのかも。
この映画、キャストがとても良かったです。
主役の芦田愛菜の普通っぽさ。
ダッシュで街を駆け抜けるシーンや、教室で涙をぐっとこらえて…でも泣きだしてしまうシーンはさすが。
そして、イケメン教師の岡田将生の「ヤな感じ」っぷり。
中学生の女の子が好きな人からあんなことを、しかも教室で、他の生徒がたくさんいる中で言われたら…それはもう一大事です。
衝撃的すぎて学校行けなくなっちゃいそう。
先生、もっと大人になって~。
そして、何でもハッキリ言うけど裏表がないちひろの幼なじみなべちゃん。
そしてそして、なべちゃんの元カレ。
いや、きっと「元カレ」じゃないですよね。「彼氏」の男の子。
単純でおばかで幼稚で(←褒めてます)
彼には癒されました。
ホント、可愛いですよね。
今まで当たり前で、ごく普通だと思っていた事や生活に疑問を持つ。
これまでも、まーちゃんとの会話やこっそりと飲むコーヒーにほんの少しそれを感じていたけれど、自分に好きな人が出来て初めてハッキリと感じたちひろ。
でも、両親のことはやっぱり大好きで、そんな素直で優しいちひろの心の揺れが観ててよく伝わってきました。
永瀬正敏と原田知世演じるちひろの両親も二人仲良くて幸せそうで、そこが「良い」「悪い」と言うこと出来ない理由でもありました。
まーちゃんは出ていってしまったけど、でも、きっと子供達のことは同じように大事に思って子育てしてきたのだろうと想像できます。
誰かの食べ残したお寿司を晩ご飯に…と、いたずらっぽく笑う母親。
助けられた時から家庭の中にはその新興宗教がいつもあり、それがあることによって毎日が平和で心穏やかに過ごせていたのでしょう。
ちひろがこの先何をどう選ぶのかはわからないけど、この両親にとっては幸せそうなので今のままで全然いいんじゃないのかな、なんて思います。
人にグイグイ勧め始めると、また話は別ですが。(;´・ω・)
必要な人には必要で、必要としない人には「助け出さなくちゃ」と思うような「悪」なのでしょう。
でも…やっぱりどうなんだろう? 難しいですね。
という感じのラストでしたが、ちひろはまだ中学生。
今はまだ両親と一緒に仲良く流れ星を探しています。
ちひろが自分で考えて決めるのはこれから。きっともう少し先の話。
今回の出来事は、当たり前に過ごしてきた毎日をほんの少し考えるきっかけになった。
…という事だと思います。
芦田愛菜ちゃん。
ネットではいろんな噂が流れていますが、このまま俳優を続けていくのだったらどんな大人になるのかな。
どんな俳優になって、どんな役をやるのかな。
20代、30代、40代…もっともっとその先も楽しみな役者さんです。