コロナで映画館も2ヶ月近く休館。
ようやく再開したよ~。
さぁ、1本目は何観よう?
一週間限定上映となってた「ミッドサマー」行ってきました。
あらすじ
アメリカに暮らす大学生のダニーは、恋人のクリスチャンとの関係がほぼ破綻し、不安定な精神状態にあった。
追い打ちをかけるように、妹が両親を巻き込んで一家心中を図ったために天涯孤独の身となってしまう。
クリスチャンは同情から、男友達との夏のスウェーデン旅行にダニーを誘う。
大学で民俗学を研究する彼らの目的は、交換留学生のペレの故郷で開催される90年に一度、9日間に渡ってさまざまな儀式が行われる祝祭への参加だった。
太陽が沈むことのないその村は、美しい花々が咲き、住民はやさしく、歌い踊る楽園のような場所。
しかし、ダニーたちはその祝祭で想像を絶する体験をする。
キャスト・スタッフ
2019年製作 アメリカ
原題:Midsommar
配給:ファントム・フィルム
監督 | アリ・アスター |
---|---|
脚本 | アリ・アスター |
ダニー | フローレンス・ピュー |
クリスチャン | ジャック・レイナー |
ジョシュ | ウィリアム・ジャクソン・ハーパー |
マーク | ウィル・ポールター |
ペレ | ウィルヘルム・ブロングレン |
サイモン | アーチー・マデクウィ |
コニー | エローラ・トルキア |
ダン | ビョルン・アンドレセン |
ウルフ | ヘンリク・ノーレン |
シヴ | グンネル・フレッド |
マヤ | イサベル・グリル |
イングマール | ハンプス・ハルベリ |

感想
今回、ちょっぴりネタバレあり。
で、まずはここから。
「ミッドサマー」気になるけど、怖いの苦手&グロいの苦手で観ようかどうしようか…とお悩みの方へ。
今回、コロナ感染防止の為に映画館も一度に入れる人数がかなり少なく、
私がチケットを買った時には最前列2席しか空いていませんでした。
怖いのもグロも大の苦手な私が最前列で鑑賞してきました。
が、
途中1度だけ音にびっくりした程度で、グロいシーンはありますがスクリーンからずっと目を背けて…という程ではなかったです。
そこまでひどく「映像的に」怖いというのはないと思います。
…とか言いつつ、こんな書き出しでゴメン。
↓↓
コワイ!コワイ!!
オバケとかゾンビとかそんなんじゃなくて「人」がコワイ!
清楚な白いワンピースやおだやかな村や優しそうな笑顔がこんなにも怖いなんて。
美しいのに怖い。
やっぱりこの世で一番怖いのは「人」だ~!!
この映画の一番最初、そしてホルガに到着してからも飾られていたタペストリーや部屋の中のたくさんの絵。
これがまた不気味で、いかにも
て感じ。
一つ一つをじっくり見たいけど、部屋の中一面(壁から天井まで)絵がいっぱい過ぎて、そこに注目するのは早々にあきらめました。
絵だけでなく、ちょこっと映るモノや、「愚か者の皮はぎ~♪」なんてサラっと出てきた子供たちのセリフなど
が、モリモリのてんこ盛り。
でも、それに気を取られると字幕を読み損ねるのでとりあえずは置いといて。
外部の者から見れば異常すぎることも、ホルガの人たちからすれば普通のこと。
72歳で強制的に終えてしまう命もホルガの人たちにとっては普通で、必要なこと。
ただ、死にゆく仲間の痛みや苦しみは(残る)私たちも共に感じます。ってことで崖から飛び降りたり火に焼かれたりした時のみんなの苦しみ叫ぶ姿は…やっぱ異常!!怖すぎる!!
おじいさんが飛び降りに失敗してまだ少し息があった時に、少しブーイングっぽくなってたのも怖い。
あの恐ろしい儀式も、彼らにとってはイベントのようになっててこれまた怖い。
共に痛み、共に苦しみ、共に感じ(コブクロの歌みたいになっちゃったよ)の精神は、当然「喜び」も有りで衝撃だったマヤの初体験!
このシーン「衝撃」というか私にとっては「笑撃」でしかなかったんだけどw
セクシーシーンにありがちな気まずさゼロ。
フラワーガールに導かれ「性行為の部屋」に入ったクリスチャン。
目の前には花に囲まれビーナスのように全裸で横たわるマヤ。
性行為を許されたマヤがとっても誇らしげなんだよね。恥じらいとか皆無よ。
その後ろにずらりと並ぶ全裸女性たち。
そしてハミング(笑)←「天使にラブソングを」風
次第にマヤの声に合わせて、後ろの女性たちも「共に」あえぎ声を。
このあたりがもうたまらんオモロさ!!
見守り隊の全裸女性たちも徐々に気分は高まって、列を乱してグイグイくるおばちゃんも。
とどめは、見かねて?なのかクリスチャンの腰を押すおせっかいな全裸おばちゃん現る。
そして、さっきまで何もなかったのに急に出てくるモザイク。
こんな中で普通ムリでしょ?と思ったけど、クリスチャンはヤバい薬を飲まされてるので大丈夫なのでした。
終わってからマヤが裸のまま両ひざ抱えてゴロンゴロンするところも、何だかオモロ可愛かった(受精を感じていたらしい)。
で、クリスチャンは用済み。
カマキリ並みの扱い…。可哀そう。
薬も頻繁に出てきて、食卓に並ぶ料理のお肉が呼吸してるみたいに動いたり、花冠の花が開いたり閉じたりするのも気味が悪い。
そして、ラストの笑顔の意味は?
吐き出したくても吐き出せなかったいろんな思いからようやく解放されたのか。
人のことを気にし、自分のツライ気持ちを理解してくれる人もなく、なんだかいつもつらそうで悲しそうで苦しそうだったダニー。
この後のことは描かれてないけれど、いわゆる普通の世の中で暮らすよりもホルガで暮らす方がダニーにとっては生きやすいのかも。
アメリカに戻って暮らしてほしい気もするけど、外部から来た人間が生きてホルガを出ることが出来るのかどうかも気になる。
ホルガで生まれた子供たちは、ここでの生活が「普通」で「あたりまえ」。
それが「変」だとしても「何か違う」とも思わない、わからない…外の世界に触れるまでは。
でも、ペレはアメリカに行っても変わらなかったということは、もう彼の中にはしっかり「ホルガ」の精神が出来上がってた…てことで。
うーん。怖いなぁ。
現実でも、例えば宗教とか。例えば虐待とか。
「心の支配」なんてことも映画を観終わってぼんやりと考えました。
一つ可哀想だったのは「意図的に障害者を作る」というところ。
神の子として扱われたとしても、その一生は悲しすぎる。
そして、不快でもあった。酷い話だ。
ディレクターズカット版は、ホルガのこと、コニーの死因、クリスチャンのことなどが加えられたものだそう。
オリジナルを見ただけだと、クリスチャンのことは「可哀そう」くらいにしか思わなかったけど、DC版は結構なクズ男になっている模様。
少し気にはなるけど、この映画をもう一回…はちょっときついかな。
でも映像は美しいです。
白いドレス、カラフルな花、自然、歌、踊り…美しくて不気味。
ヒグチユウコさんが描かれた「ミッドサマー」のイラストを見ましたが、これも美しく、でもどこか不気味な感じで素敵でしたよ。
主演のフローレンス・ピューが良かった。
「ストーリー・オブ・マイライフ」での四女エイミー役も楽しみです。