ミナリってなんだ?
初めて耳にする言葉に、映画館でチケット買うときイントネーションに悩みました。
「身だしなみ」とかの「身なり」と同じ発音でいいみたいですね。「ミナリ」
あらすじ
1980年代、アメリカのアーカンソー州に引っ越してきた韓国の移民家族。
父親のジェイコブは、この土地に農場を作り成功することを夢見ている。
荒れた土地、ボロボロのトレーラーハウス、息子は心臓の病気があるというのに近くに病院も無いこの場所と夢ばかり語り追いかける夫に不安を感じる妻のモニカ。
二人の子供たち、アンとデビッドは新しいこの場所での生活を少しワクワクした気持ちで過ごしている。
ある日、韓国から妻 モニカの母親 スンジャがやってきて一緒に暮らすことになった。
子供たちにとっては、初めて会う❝おばあちゃん❞
口が悪く、自由で破天荒。
イメージしていたおばあちゃんとは全然違う祖母に戸惑い、少し疎ましく思うデビッドだったが次第に絆を深めていく。
一方、農業の方は農地の水が干上がり、作物は売れず、ジェイコブの思い描いていたようには上手くいかない。
収入も無く追いつめられる一家に、更に大きな出来事がおこる。
スタッフ・キャスト
2020年製作 アメリカ
原題:Minari
配給:ギャガ
監督 | リー・アイザック・チョン |
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製作 | デデ・ガードナー、ジェレミー・クレイマー、クリスティーナ・オー |
製作総指揮 | ブラッド・ピット、ジョシュ・バーチョフ、スティーブン・ユァン |
脚本 | リー・アイザック・チョン |
ジェイコブ | スティーブン・ユァン |
モニカ | ハン・イェリ |
デビッド | アラン・キム |
アン | ノエル・ケイト・チョー |
スンジャ | ユン・ヨジョン |
ポール | ウィル・パットン |
ビリー | スコット・ヘイズ |
感想
タイトルの「ミナリ」は、韓国語で香味野菜のセリ(芹)。
たくましく地に根を張り、2度目の旬が最もおいしいことから、子供世代の幸せのために、親の世代が懸命に生きるという意味が込められている。
-公式サイトより引用-
「セリ」の事だったんだね、ミナリって。
セリって春の七草のセリ。1月7日におかゆに入れて食べるアレです。
余談ですが「春の七草」全部言えますか?
って節をつけて覚えてました。
と、まあそんなセリ(ミナリ)には、こういう意味があったんですね。初めて知りました。
この土地での成功を夢見る父親。
現実に不安を感じる母親。
どちらも子供の事を思う気持ちに変わりはないのだけど。
この映画は、夢に向かって家族みんなが一生懸命にガンバル!…ではないところがいい。
そりゃ色々あるよね。
心臓の悪い子供がいれば近くに病院がないと不安だし。
家族みんなが同じ方向を向いてるとは限らない。
激しく言い争う両親の声を聞きながら、口に出せない言葉を紙ヒコーキに書く幼い子供たち。
上手くいったり、いかなかったり、
仲良く過ごしたり、ケンカをしたり、
良いこと悪いこと、嬉しいこと悲しいこと、楽しいこと腹の立つこと。
色んなことがいっぱいありながら、それでも日々過ごしていく。家族みんなで過ごしていく。
そんな家族の物語。
韓国からおばあちゃんがやって来てから物語ががぐんと面白くなりました。
確かに❝おばあちゃんらしくない❞
口が悪い、花札が得意、クッキー焼けない、男物のパンツ履いてるw
破天荒で自由でオモシロイおばあちゃんだけど、子供たちから見れば思い描いてた「優しいグランマ」とは全然違ったみたい(笑)
でも、このおばあちゃん。
遠く知らない土地に来ても明るく、パワフルでたくましいのです。
初めて会う孫たちにちょっぴり嫌がられても全然めげない。
言葉が話せなくっても英語を話そうと自分からグイグイ攻める。
デビッドが嫌がることを、わざと英語で言おうとするシーンなんて面白くて←brokenのとこ
メンタル強すぎです。
後半、おばあちゃんと仲良くなってからはデビッドもふざけておばあちゃんに言い返すようになり、そんなところも微笑ましい。
おばあちゃんがミナリを植える時に言っていた言葉。
ミナリはどこでも育つし、どんどん増える。
美味しい食べ物にもなるし、薬にもなる。
強く、雑草のようにたくましく、
みんなを幸せにしてくれる。
それって、おばあちゃんみたい。
ミナリがおばあちゃんなのか、
おばあちゃんの中にミナリがあるのか…。
一生懸命真面目に頑張っても報われないこともある。
失敗、裏切り、理不尽な出来事、生きてたらいろんなことがあるかもしれない。
それでも明日はやってくる。
いつかきっとうまくいく!!
明るく元気に、ずぶとく、たくましく!
ワハハ!!と笑い飛ばして。
私も私の中にたくさん「ミナリ」を育てなくちゃ。