メキシコの映画なのにローマ?
…と不思議に思いましたがメキシコにもローマという場所があるんですね。知りませんでした。
Netflix入ってないから諦めていましたが映画館で観ることが出来て良かったです。
あらすじ
1970年代初頭のメキシコシティ。
医者の夫アントニオと妻ソフィア、4人の子供たちと祖母が暮らす家で家政婦として働くクレオ。
クレオは毎日、子供たちの世話や家事に追われる日々を送っていた。
そんな中、クレオは同僚の恋人の従兄弟であるフェルミンという青年を紹介され恋に落ちる。
一方、アントニオは長期の海外出張へ行くことになり家を出ていく…。
スタッフ・キャスト
2018年製作
メキシコ・アメリカ合作
原題:Roma
監督 | アルフォンソ・キュアロン |
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脚本・撮影 | アルフォンソ・キュアロン |
クレオ | ヤリッツァ・アパリシオ |
ソフィア | マリーナ・デ・タビラ |

感想
まず。
映画館で観てよかった!と思ったのが「生活音」
水の流れる音、小鳥のさえずり、家の前を歩く物売りの声、子供たちの声、誰かの話声…。
それらが映画館の右、左、後ろ、と、まるで観ている私もその場にいるかのようにあらゆる方向から聞こえてきます。
これらの音は、スマホやタブレットで見ていたらきっとわからない。
調べてみるとメキシコのローマという地区はオシャレで「インスタ映え」する場所なんだそうです。
確かに。
モノクロの作品なのですが色を感じる場面が多々あり、雑多なお店の入り口など色鮮やかな雰囲気でした。
このお話の中では、クレオ、ソフィアそれぞれに大きな問題が起きます。
二人の相手の男達が本当にどうしようもない男でイラっとさせられます。
ソフィアの旦那の器の小ささ。
別れたとたんに、今までデートに使ったお金を払えとかプレゼントしたものを返せ。とか言い出す男みたい。
クレオの恋人のこれまたしょうもない「強さ」アピール。
弱い相手にはやたら強ぶって見せて、そのくせきちんと二人で向かい合って話し合うことも出来ず逃げる男。
やだやだ。
でも、悩み苦しんだ末に見切りをつけたソフィアは気持ちいいくらい強くてたくましくてカッコイイ。
神経質な旦那が毎日駐車場ギリギリの幅で停めていたバカでかい車も、小回りのきく車に買い替えて。
子供たちにもきちんと丁寧に本当のことを話し、その後の
の言葉には、こっちまで嬉しくなるくらい頼もしくて素敵なお母さんでした。
何でもないありふれた日常。
いつも同じような日々の中でもちょっとした出来事があって笑ったり、泣いたり、怒ったり。
そんなことを繰り返して、いろんなことを経験しながらみんな少しずつ変わっていくのかな。
成長する。大人になる。強くなる。優しくなる。
旅行からの帰り道。
車の中のクレオも子供たちも以前とは少し違う表情だったのが印象的でした。
そしてラストのクレオが洗濯物を抱えて階段を上がって行くシーン。
空には小さく飛んでいく飛行機。
このシーンも少し大人になったクレオの強さや清々しさを感じて良かったです。
モノクロ、普通の人々、ありふれた日常。
正直、はじめは「面白いの?」と思いましたが、後半からグッと引き付けられました。
見る人によって評価が分かれそうな映画でもあります。
恋愛、結婚、男女のごたごた、妊娠、出産、子育て、気持ちのすれ違い、伝わらないもどかしさ、不安、ドキドキ、わくわく。
どこにでもいるような、ごくごく❝普通❞の人だって生きてりゃ色々あるよね。
もしかしたら見る人の年齢も関係するかもしれません。
数十年生きてきたからこそ共感する部分もあったり、気持ちを汲み取れる部分もあったのかな。
もしも私が10代や20代前半だったとしたら、今ほど面白いとは思わなかったかもしれません。