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映画

「凪待ち」感想&ネタバレ~不幸の連鎖から抜け出せない辛さ

香取慎吾くん主演。

監督は「孤狼の血」の白石和彌監督。

笑顔の無い見慣れない表情の香取慎吾。

この映画を観る前日にファミマのフラッペつくりかたダンスのCM見たんだけどなぁ~。

雰囲気違いすぎます。(;’∀’)

あらすじ

毎日をふらふらとただ過ごしていた郁男は、恋人の亜弓とその娘・美波と共に彼女の故郷、石巻に向かっていた。

郁男は、ギャンブルを止め石巻で仕事も始め、3人の再出発は平穏に普通の日常を取り戻しつつあるかのように思えた。

ある日、帰宅の遅い美波を探すために夜の街を車で回っていた亜弓と郁男は口論になり、そのはずみで郁男は亜弓を車から降ろし帰ってしまう。

その後、亜弓は何者かに襲われ、死体となって発見された。

恋人を殺され、職場からは横領を疑われ絶望的な状況の中で郁男は次第にまたギャンブルへのめり込んでいくのだった。

【キノフィルムズチャンネルより】

スタッフ・キャスト

2019年製作 日本
配給:キノフィルムズ

監督 白石和彌
脚本 加藤正人
木野本郁男 香取慎吾
尾野美波 恒松祐里
尾野亜弓 西田尚美
尾野勝美 吉澤健
村上竜次 音尾琢真
小野寺修司 リリー・フランキー
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感想

いい意味で❝慎吾ちゃん❞も年を取りました。

でも雰囲気がとても良かった。

体型も、太っているわけではないけど引き締まっているわけでもなく、ちょっとだらしない感じが役柄とぴったり合って。

いつもの元気いっぱい笑顔いっぱいのアイドルとは全然違ってて新鮮。

ひげを生やしたり、どうしようもない男を演じたり、大人な一面を見せていくのってすごくいいな。

新しい「役者・香取慎吾」を見た気がします。

 

何だかもどかしい。

伝わらない気持ち。

上手くいかない人間関係。

ちゃんとやろう、まじめに頑張ろうと思っていても周りの目や見た目の印象から誤解を受ける。

悪い方に悪い方に進んでしまう苛立たしさともどかしさ。

普通の…ごく当たり前に思える「普通の幸せ」がなかなか手に入らない人達。

 

人って何て複雑でわかりにくくて、「言葉」っていう伝達方法があるのにそばにいる人にも気持ちは伝わらない。

ギャンブルばっかりやってる人はだらしがないダメな人間だって思うし、

お酒飲んで暴力振るう人はどうしようもない人だと思う。

関わりたくないとさえ思ってしまう。

でも、もしかしたら彼らの中には苦しんでる人がいるかもしれない。

必死に止めようとしてる人がいるかもしれない。

後悔してる人がいるかもしれない。

だけど、なかなか彼らの本心、苦しんでる気持ち、悲しみ、絶望はわからない。

…人ってムズカシイ。

 

小野寺さんの逮捕シーン。

亜弓が行きたがってた場所を郁男が思い出せないと以前言っていたのに、警察の車に乗る直前、スラスラとその島の名前を言い得意そうに郁男を見下ろす小野寺さん。

あの目だけで、

自分の方が亜弓のことを知ってる。

自分の方が亜弓をたくさん愛している。

と言っているようで怖かった。

 

あんなに親切で良くしてくれた小野寺さんがなぜ。

やっぱり人の気持ちって複雑でわかんないものなんだな。

「好き」という気持ちが余計にややこしく複雑にさせているのかもしれないけど。

 

そして、この映画の中でヤ〇ザの方たちがどうしようもない郁男と比べてちょっぴり義理堅いようにみえたのがちょっと…何だかなぁ~って感じがした。

義理堅くて情に厚い…的な描き方をされるのはあまり好きではない。

 

「凪待ち」

穏やかな海に沈んでいった婚姻届。

届けなんか出さなくても、勝美さんは郁男のことを「息子」と言ってくれた。

郁男にも穏やかな幸せが、今度こそやって来ますように。

祈るような、お願いするような気持でこの映画を観終わりました。

 

結局、勝美さんが一番カッコ良かったなぁ。

親分さんと昔なにやらあった感じで、きっと勝美さん自身も若いころ荒れた日々を送っていたんだろうな、

でも、今はこんなに穏やかに暮らしているんだな、と思えるところも郁男の将来にも光が差して

YOU
YOU
きっと大丈夫

と感じさせてくれる。

 

余談ですが今回、監督の舞台挨拶つきの上映でした。

上映後劇場の出入り口にて監督から手渡しで凪待ちカレンダーをいただきました。

それがこちら。

ステッカーかな?と思ったらカレンダーって。

しかもデカイw うーん…(;’∀’)

でも、白石監督、すごく気さくな雰囲気で素敵な方でした。

監督の次回作も楽しみにしています♪