観終わってすぐの感想は、
3時間という長い上映時間。
監督の「伝えたい想い」をひしひしと感じたけれど、良かったか?と言われれば
が、率直な感想。
でも。
あとから思い返すとじわじわとくるものが。
こんな映画今まで見たことがない。
熱い想いがいっぱい詰まったすごい映画だったんじゃない?!
あらすじ
尾道の海辺にある唯一の映画館「瀬戸内キネマ」が閉館することになった。
最終日は「日本の戦争映画大特集」のオールナイト興行。
そこで映画を観ていた若者3人は、突如映画館を襲った稲妻の閃光に包まれスクリーンの世界にタイムリープする。
戊辰戦争、日中戦争、沖縄戦、そして原爆投下前の広島へ。
そこで出会ったのは移動劇団「桜隊」の人達だった。
8/6、広島に原子爆弾が落ちることを知っている彼らは「桜隊」を救うため奔走する。
運命を変えることは出来るのか?
【公式サイトより引用】
スタッフ・キャスト
2019年製作 日本
配給:アスミック・エース
監督 | 大林宣彦 |
---|---|
脚本 | 大林宣彦、内藤忠司、小中和哉 |
制作協力 | 大林恭子 |
エグゼクティブプロデューサー | 奥山和由 |
馬場鞠男 | 厚木拓郎 |
鳥鳳介 | 細山田隆人 |
団茂 | 細田善彦 |
希子 | 吉田玲 |
斉藤一美 | 成海璃子 |
芳山和子 | 山崎紘菜 |
橘百合子 | 常盤貴子 |
爺・ファンタ | 高橋幸宏 |
杵馬(瀬戸内キネマ支配人) | 小林稔侍 |
老婆(チケット売り場) | 白石加代子 |
坂本龍馬 | 武田鉄矢 |
西郷隆盛 | 村田雄浩 |
大久保利通 | 稲垣吾郎 |
酒匂(苦力姿) | 浅野忠信 |
浅野深夫上等兵 | 渡辺裕之 |
千利休 | 片岡鶴太郎 |
能を踊る男 | 南原清隆 |
宮本武蔵 | 品川徹 |
お通 | 入江若菜 |
川島芳子 | 伊藤歩 |
映画館で幸せそうに居眠りする客 | 犬塚弘 |
近藤勇 | 尾美としのり |
中岡慎太郎 | 柄本時生 |
芹沢鴨 | 蛭子能収 |
お李 | 根岸季衣 |
宮地節子(列車のおばさん) | 渡辺えり |
映画監督(小津) | 手塚真 |
映画監督(山中) | 犬童一心 |
奈美子(新聞記者・爺ファンタの娘) | 中江有里 |
加也を刺す上官・車掌・倉庫番A | 笹野高史 |
滝上等兵・軍曹(日本兵駐屯地) | 本郷壮二郎 |
愛姫(滝の中国女) | 川上麻衣子 |
金城亀二 | 満島真之介 |
金城亀吉(村長) | 大森嘉之 |
丸山定夫 | 窪塚俊介 |
男の子の父 | 長塚圭史 |
男の子の母 | 寺島咲 |
有坂来瞳 | |
ミッキー・カーチス |

感想
何かよくわかんないけどすごい映画、というのが最初の感想。
コロコロと切り替わる場面。
学芸会のような決して上手いとは言えない役者たち。
舞台セット。カラフルな背景。
おそらく映画の前半は多くの観客が置いてけぼりにされたのでは?
ただ監督の「伝えたい!」っていう想いはひしひしと感じた。
映画を観終わって、映画館を出ていると側にいた年配の男性が
と連れの方と話してて、心の中でクスっと笑いつつ「ホントだよ~」と同感。
でも、家に帰っていろんなシーンやセリフを思い返してみると、あとからじわじわときました。
何度も繰り返される希子の「知りたいの」というセリフ。
戦争の理不尽さ、悲惨さ。
鞠男ら3人の若者は、現代から映画の世界にタイムリープしたから死ぬことはない。
だけど、彼らが行く先々で出会った人たちは戦争によって死んでしまう。
理不尽に、無惨に、そして無駄に殺される。
それも敵に殺されるのではなく、味方であるはずの同じ日本人に。何で?
鞠男たち3人と共に「戦争」を体験することによって知って欲しい。
「戦争は絶対にダメだ」という強いメッセ―ジ。
「知らない」若い人たちに知って欲しい。
間違った方向へ進まないように。
平和のバトンをつなげて欲しい…という想い。
戦争映画はアクション映画ではない。という言葉にもハッとしました。
本当にそうだ。
戦闘機、戦艦、銃、派手な戦闘シーン…観る人によっては「カッコイイ!」と感じさせてしまう作品も…確かにある。
戦争はゲームなんかじゃない。カッコよくなんか全然ない。
という監督のメッセージに共感しかありません。
平和な未来を!!
「敵」や「味方」ではなく「人」として認めるところから。
たくさんの人に観てもらいたいなぁ~と思いつつ、長いしクセも強いので好き嫌い分かれちゃいそうだな。
キャストは、ちょっとした役にも有名な俳優さんがたくさん出演されていてとっても贅沢な作品でした(ナンチャンは気づかなかった~)。
成海璃子さん、山崎紘菜さん、若手の女優さんも頑張ってて好感度大!
個人的には長塚圭史、常盤貴子夫妻が並んでる姿が何だかほっこりしましたが。
長塚さんの最後のセリフも良いですよね。
2020年4月10日に亡くなられた大林監督。
この日は元々の「海辺の映画館」公開予定日。
コロナの影響で公開延期となり、実際に全国公開されたのは2020年7月31日。
上映前に奥様の大林恭子さんの手紙での挨拶があり、
「この映画館のどこかで一緒に見てると思います」
と書かれていました。
全国各地の映画館にふらりと現れてニコニコしながら観客の反応を楽しんでいらっしゃるのではないかな?と私も思います。
最後の最後まで現役で、映画を撮り続けた大林監督の情熱にただただスゴイ!という驚きと感動と尊敬でいっぱいです。